HOME > NEWS

 


活動報告 (2016年)

 LinkIcon2016年11月26日

昼下がりの文化精神医学


 第一回「昼下がりの文化精神医学」では、熊本学園大学教授で精神科医である下地明友先生の講演会がありました。

『クロノトポスのダイアロジスム』と題された講演会のテーマは、「クロノトポス」「ダイアロジスム」「カーニバル」「ポリフォニー」といった多種多様な概念を援用しつつ、文化精神医学と医療人類学の視点から、精神科臨床の場のリアリティを把捉する試みでありました。
 臨床の場は、単なる物理的空間でも医学的言説の空間でもなく、臨床語・風土語・宗教語・日常語によるそれぞれの語りが、時と共に生滅変化しながら交響する異言語混淆の空間である。しかしそこには、既知の認識モデルから逸脱する曖昧さや両義性を捨象することによって、臨床のリアリティから離脱した医療世界という閉じたシステムを創り出す「場所の嗜癖性」が潜在する空間でもある、と下地先生は述べます。
 一聴して、講演の内容が実際の臨床現場から遊離した、衒学的抽象度の高いものとの印象を受けますが、下地先生は、熊本地震の際、熊本学園大学に設置された避難場所が、いかにして「施設化」という嗜癖化を免れ得たかという具体例を紹介することで、今回の講演に盛り込まれた考察が、至極具体的な臨床の場における出会いから導出されたものであることを示されました。
 LinkIcon2016年11月26日

難民理解講座〜日本に難民は定住したか〜

 11月26日午前中に「難民理解講座-日本に難民は定住したか?」が開催されました。参加者は全部で40人を超え、大盛況のうちに終わりました。
 先生方からは難民の現状、そして課題等が議論されていました。近年、ヨーロッパにおける難民問題は深刻で、この余波は確実に日本にも波及していると考えられています。これは「難民を受け入れて終わり」という簡単なシナリオではありません。受け入れ側としては、難民の方々が日本での適応を目指した態勢を整えない限りは日本が安住の地ではないといえます。例えば日本語教育の重要性、さらに市役所等でどこでどのような手続きをするのかなど難民にとっては全てが大きな課題として重くのしかかります。こうした障害をいかに少なくしていくかが課題になります。この難民理解講座を通して、私たち日本人に必要とされているのは安心・安全の場だけを提供するだけではなくコミュニティとして共に考え、支え合っていく姿勢が求められるのだと感じました。
 LinkIcon2016年9月3日

ベガム・マイトラ先生をお迎えして

 ベガム・マイトラ先生 (Dr. Begum Maitra )はユング派分析家の精神科医であり、
現在はロンドンで開業していますが、ルーツはインドです。マイトラ先生はインド、
そして多文化都市のロンドンでの臨床経験を通して、人間は常に反対極と対立して
いるのを観察してきました。つまり人間は、一方ではコンセンサスの誘惑、いわゆる
他者と共有したい気持ちと、他方では、他者との間に境界線を引きたくなるほどの
恐怖心と戦ってきました。マイトラ先生は著書で紹介している事例を通して、いかに
「文化的な差異」がこの対立する欲求の土俵になっているか、さらに「精神疾患」
の概念がいかに「異なるもの」(精神的、生物医学的、社会的)の標識から、
曖昧な所属へと変容していったかを説明されました。


LinkIcon2015年8月18日

 ミャンマー・ロヒンギャ族に対する支援

ミャンマー・ロヒンギャ族の児童に対する学習支援を行いました。当日は市役所の国際課の方々・ボランティアの学生などが集まり支援を展開しました。上半期の支援には男性のみの参加となり、女性の姿はありませんでした。実は、ロヒンギャ族は男性中心の社会であり、女性の意見は軽視される傾向があります。しかしながら女性ならではの問題や、子どもへの支援においては母親の声に耳を傾ける必要があります。この日はロヒンギャ族の母親1名と児童3名が参加しました。子どもたちは学習意欲があり、能力的にも大きなつまずきや遅れは見られませんでした。母親は子どもの学習に対して何も問題意識は抱いていませんでしたが、今後は学習内容が抽象化するなかで、うまく能力が伸びていくか一抹の不安を感じました。今後はロヒンギャ族の男性との話し合いの中で、女性そして子どもの将来像についても話し合い、こどもの教育において家庭でどのように父親、母親がかかわっていくべきか問題提起を行っていきたいと考えています。


 LinkIcon2011年〜現在まで

いわき市国際交流協会との連携事業


2011年より、いわき市国際交流協会と連携し、外国につながる人々へのメンタルヘルス支援、とくに女性と母親の支援を行ってきました。年に一回の開催ではありますが、異文化での子育て支援、外国につながるこどもの思春期のこころ、日本人を夫に持つ外国人妻のためのワークショップ、心のお手入れ大切に(こころのケアについて学ぶ)といった内容のパネルを開催してきました。さらには、日本語が流暢でないこどもと母親の感情表出を促すためのフィンガーペインティング、外国につながる母親のグループカウンセリング、個別でのカウンセリングも併せて行ってきました。今後も、コミュニティのニーズを伺いながら、様々なプログラムを提供していきたいと思います。